園長のひとりごと
大人の隠し味
2021-03-09
昔から「一月は行く、二月は逃げる、三月は去る」とよく云われますが、毎年のことながらあっという間の3ヶ月です!保育園でも年度末が迫り、慌ただしくなって参りました。昨年の入園当初を思い出すと、歩ける!話せる!着替えれる!身体のコントロール、コミュニケーションも上達し、お友達もたくさん出来ました。お家に帰られて「今日は・・を作ったよ、・・があったんよ」というような保育園での話も、子どもたちから出ているのではないでしょうか・・・もし出ていなければ、いろいろ出るように、ほじってみてください。その日の生活、行動を親子で一緒に振り返ることは案外重要です!!今日は・・が楽しかった、嬉しかった、逆に・・が嫌だった、楽しくなかった、保育園で感じたことを、もう一度お家で思い出してもらい、それに共感してあげる。楽しかった、嬉しかったことは、よりポジティブに笑顔で、また成長するにつれて、トラブルの話もあるかとは思いますが、そのような時にも、なるべくネガティブ方面は避けながらの会話テクニックを、是非お願い致します。子どもたちは、信頼のおける保護者の皆様の話、思い、感情を素直に大量に吸収しながら成長していきます。楽しさ、嬉しさ、幸せをしっかりと感じてもらえるような関わりは、これから一生を左右していく人格の形成にとても重要なことです。実際ほんの一手間のことですが、これが未来に繋がります。見たものをどう感じるか、聞いたことをどう捉えるか、触ったものから何を得るか。子どもたちの純粋な思いに、大人の良き経験を隠し味として、少量効かせて(聞かせて)あげてください。隠し味ですので目立ちませんが効果ありますよ~。
努力
2020-12-21
「マリアさんあなたは男の子を産むでしょう。名前をイエスとつけなさい」友愛保育園開園以来50数年、12月のクリスマス祝会では年長児が降誕劇を演じています。子どもたちは、それぞれにマリア、ヨセフ、羊飼い、博士、宿屋、天使、そしてガブリエルを演じます。自分の役が決まるとセリフが書かれた紙をもらい、練習がスタートします。短いセリフはすぐに覚えることが出来ますが、少し長くなると容易にはいきません。家に帰っても練習は続きます。ときには涙が出てしまうこともありますが、繰り返し繰り返し、舞台の状況、セリフを頭の中に落としていきます。最近、卒園児が20数年の歳月を経て、親となり保育園見学に来てくれます。見学の最中に自分の担任だった先生に出会うこともありますが、そこは20年、顔だけうろ覚えが精一杯、少し寂しく思いますが記憶に残っていることもいくつかあります。降誕劇はその筆頭、ほぼ全員が覚えています。私はガブリエル、両手を上げてセリフを言った。僕は博士、宝物を持って来た。僕は羊飼い、棒を持って歩いた。みんな大したものだと感心させられます。思い出して下さい、保育園、幼稚園の時、あなたは何を演じましたか?他の記憶は曖昧でも、セリフを覚え、立ち回りを身に付け、与えられた役をしっかりと演じた記憶は、あなたのなかにも残っているはずです。学生時代を振り返ってみても努力の記憶は残っているものです。努力そのものも結果に大きく貢献してくれますが、自らを信じて頑張ったという記憶も、自信という素晴らしい力を授けてくれます。「努力は報われる」よく耳にするフレーズですが、子どもたちは今日も努力の一石で、成長というピラミッドをコツコツと積み上げているのです。
「声」
2020-09-18
人の声は特有のものです。指紋と同じです。声の似ている人はいます。しかし完全に一致することはありません。子どもたちは、生まれる前から母親の声を振動のように聞いています。そして、出産直後から自分を守ってくれる人たちの声を聞きながら成長していきます。特有の高低、強弱、音色、アクセントを心に染み込ませながら成長していきます。優しく包んでくれる声、強く叱ってくれる声、安心して認めてくれる声、子どもたちの心には、様々な声が刻まれていきます。子どもたちにとって家族の声は特別なものです。皆様、過去を振り返り、叱られて怖かったこともあるでしょう、「勉強、勉強、宿題、宿題」うんざりした記憶もあると思います。しかし、少しの時を置き、改めて聞くその声、音色、アクセント、妙な安心と落ち着きを覚えます。人の心には、自分を守り、育ててくれた家族の声が、しっかりと刻まれているのです。いい声を聞かせてあげてください。否定的な声ばかりで、子どもたちの心を埋めないでください。認めてあげて下さい。安心させてあげて下さい。そのいい声で満たされた心は豊かな成長を続け、そのいい声は歩みの道標となります。家族のいい声、いい言葉は、永遠に心のなかに生き続ける大切な大切な宝物なのです。
8月
2020-08-31
8月、それは1年のなかでも特別な月、今年は戦後75年目の夏です。75年前、第二次世界大戦と呼ばれる戦争が約6年間続いた末、広島と長崎に原子爆弾が投下され、戦争は終わりました。当時の戦争を体験された方々は、ご高齢となり、毎年、戦争への恐怖心が世の中から薄れていくように感じるのは私だけでしょうか。75年前というと、随分と昔のように聞こえますが、私が保育園の年中だった頃は「今年で戦後35年目の夏を迎えます」とテレビでは放送していたはずです。今、思い起こせば、あの当時から僅か35年前、広島は焼け野原だったのです。あれから40年が経ちますが、あっという間の期間でした。戦後75年とは、そんな遥か昔々のお話ではないのです。しかし、世代は変わります。現在、世界の主たる国の指導者で世界大戦といわれる戦争を経験された方は数名しかおられず、大国に触発され、少し危険な自国第一主義のような風潮が各国で見え隠れし始めました。国の指導者ともなると、自国の歴史、世界の歴史、戦争の歴史は当然心得ておられるとは存じますが、戦争反対への姿勢が若干消極的に感じます。戦後から75年が経ち、今では信じがたい世界の中で、戦争を経験された方々は、日々少なくなっていきますが、それと共に、戦争の記憶をも風化させてしまってはいけません。私たちは大人になりました、そして、またすぐに次の世代が大人になりますが、その時、その時代の大人たちが、しっかりと戦争の悲惨さ、怖さを忘れないように語り継ぐことで、子どもたちの幸せは継続できるのです。大人が戦争の悲惨さ、怖さを忘れてしまった時、その時代の子どもたちは、想像を絶する苦しみの世界へと投げ込まれていきます。決してそのようなことを望んでいる大人はいないとは思いますが、悲劇でも忘れてしまえば、再び起こる可能性は残されます。75年前の戦争を忘れない、そして、その悲惨な記憶を後世へ繋げる、風化させない、本当に子どもたちの幸せを願うとは、そういう事なのではないでしょうか。子どもが、漫画を手に取るようになりましたら名作「はだしのゲン」を一度は薦めて頂き、親子で非戦への思いを確認して頂きたいと思います。
ドキドキドキ♡
2020-07-01
子ども(赤ちゃん)を抱いていると、心臓の鼓動を強く感じる時があります。それはとても速く、しばしば大人は驚かされます。その速さは1分間に140回程で、大人の約70回をはるかに超える速さです。しかし、それも年齢と共に落ち着き、中学生くらいで、ほぼ大人と同じ速さになります。新生児では猛スピード、それが徐々に減速し、一定になっていく。この変化に極めて近似しているものがあります。それは脳の成長、感覚の発達です。脳は生後すぐに猛スピードで成長を始めます。そして12才くらいでほぼ完成します。視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚、これら五感も同様に早期の完成を迎えます。この時期は一生を通してとても重要で大切なのです・・・が、自然に繰り返される日常生活のなか、細かい発達過程など知る由もなく、現実味はありません。ましてや、脳、感覚などに、気を止める事はありません。しかし、「ドキドキドキ」心臓の鼓動は、とても解りやすく、その大切な時を私たちに示しているのです。子どもの胸に優しく手をあててみて下さい。そこでは、猛スピードの成長が脈を打ち、発達が鼓動しています。この驚くべき速度は、脳が成長する、感覚が発達する速度そのものなのです。新生児では猛スピード、それが徐々に減速し、一定になっていく。子どもたちにとって大切な時はいつなのか、大人はその時何が出来るのか、幼き胸に当てた手の平から、今日も沢山感じてください。「ドキドキドキ」そこでは懸命に成長しようとする魂のビートが、確と刻まれているのです♡♡♡